社会運動論/Social Movements

授業概要

社会運動は、近代以降の日本やその他の世界の国々で共通した動きが見られる運動、例えばフェミニズム、ナショナリズム、学生運動や労働闘争、障害者やエスニック・マイノリティ、セクシャルマイノリティなど多岐のテーマに渡り、多様なグループや個人の活動によって発展してきた。これらの運動は、それぞれの地域の歴史や政治、文化背景にも影響をうけつつ社会の形成に重要な役割を果たしている。中には、日本における戦後の歴史問題や沖縄問題、福島以後の反核運動や、アフリカ地域における脱植民地化運動や反独裁主義の市民運動、「アラブの春」など、それぞれの国の社会背景や政治背景を反映した事例も数多く存在する。これらの運動に共通するのは、「社会を変える」ことを目的とした民衆、市民、個人の自発的な理論や活動の展開である、という点である。
また、これらの運動は一見それぞれのローカルなレベルで発展しているように見えて、国際的な思想や政治の動きとも密接に関わり合い、影響を与えあっている。近年はインターネットやSNSなどの普及により「Black Lives Matter」や「Me too」運動に代表されるように、瞬く間に国境を越えてグローバルな言説を形成し、影響力を持つ運動も増えた。こうした運動は、時に国家やより大きな組織といった具体的な「敵」に対して正面から対峙する形で展開されることもあれば、より個々人の信条やアイデンティティーを主張し、公共空間に影響を与えることで発展する場合もある。
本講義では、世界や日本における主要な社会運動、政治運動の歴史とその背景について幅広く学ぶと同時に、現代社会における様々な社会運動について理解し、自ら情報収集しつつ調査し、分析する能力を習得することを目的としている。

スケジュール

① 第1週 月 (全体)ガイダンス
② 第1週 水  社会運動の歴史と理論・日本/世界の事例とディスカッション
③ 第2週 月  テーマ1 階級社会と社会的格差・理論と社会運動の歴史
④ 第2週 水  テーマ1 日本における事例 (社会格差・失業・ワーキングプア)
⑤ 第3週 月  テーマ1 学生発表① / テーマ2 フェミニズムとジェンダー(購読)
⑥ 第3週 水  テーマ2 日本における事例 (女性と社会・政治)
⑦ 第4週 月  テーマ2 学生発表② / テーマ3 教育問題(購読) 
⑧ 第4週 水  テーマ3 日本における事例 (教育崩壊・不登校)
⑨ 第5週 月  テーマ3 学生発表③ / テーマ4 人種問題・「脱植民地化(Decolonization)」(購読)
⑩ 第5週 水  テーマ4 日本と社会における人種問題・マイノリティ問題
⑪ 第6週 月  テーマ4 学生発表④ / テーマ5 セクシャルマイノリティ(購読)
⑫ 第6週 水  テーマ5 日本における事例(日本におけるLGBTQ、歴史・現状や運動)
⑬ 第7週 月  テーマ5 学生発表⑤ / テーマ6 障害と福祉社会(購読)
⑭ 第7週 水  テーマ6 日本における事例 (身体障害・精神障害と表現の場・福祉)
⑮ 第8週 月  テーマ6 学生発表⑥ /総括・最終ワークショップ
(授業内容やスケジュールは学生の理解度や時事・場合によってはゲスト講師などの理由により変更される場合がある)

参考文献リスト

石川准 「見えないものと見えるもの―社交とアシストの障害学」 医学書院, 2004年.
石川准, と長瀬修 「障害学への招待」 明石書店, 1999年.

室橋裕和 「日本の異国: 在日外国人の知られざる日常」晶文社, 2019年.

砂川秀樹. カミングアウト. 朝日新聞出版, 2018年.
シモーヌ ド・ボーヴォワール,「決定版 第二の性〈1〉事実と神話」新潮文庫, 2001年.
フランツ・ファノン. 黒い皮膚・白い仮面 【新装版】. 翻訳者: 海老坂武と加藤晴久. 新装版. Tokyo: みすず書房, 2020年.
菊地夏野, 堀江有里, 飯野由里子, 朝香知己, エイミー・スエヨシ, 風間孝, 菅野優香, 杉浦郁子, 前川直哉, 渡辺大輔 「クィア・スタディーズをひらく 」 晃洋書房, 2019年.

田中 宏佐藤俊樹. 「不平等社会日本―さよなら総中流」中央公論新社, 2000年.
田中 宏 「在日外国人 第三版――法の壁,心の溝」 岩波新書, 2013年
小熊 英二「首相官邸の前で」集英社インターナショナル, 2017年
小熊英二 「社会を変えるには」 講談社, 2012年.
上野千鶴子 「サヨナラ、学校化社会」 筑摩書房, 2008年.
上野千鶴子, 河野貴代美, 足立真理子, 大沢真理と竹村和子 「ラディカルに語れば」平凡社, 2001年.
上野千鶴子, 鈴木涼美 「往復書簡 限界から始まる」 幻冬舎, 2021年.
「中央公論」編集部 「論争・中流崩壊」中央公論新社, 2001年.
妹尾昌俊 「教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ない」 東京: PHP研究所, 2020年.

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